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フリーランス美容師が経費計上できる項目は?基本の考え方と確定申告に備えておくべきこと


フリーランス美容師の経費は確定申告でどのように計上したらいいのでしょうか。「これは経費に入る?」「プライベートと仕事を兼ねているものはどう申告したらいいの?」など、悩みを抱えている方は少なくありません。本記事では、フリーランスとして働く美容師の方へ、経費の考え方や確定申告で役立つ計上方法をお伝えしていきます。


必要経費とは?

「必要経費」とは、事業所得を計算するときに売り上げや報酬といった事業収入から差し引く経費のことを指します。事業収入を得るためにかかったお金で、事業に直接関連するお金であること、事業に必要なお金であること、が条件です。


フリーランス美容師の場合、事業の経費とプライベートの経費を確定申告できちんと分けることが重要となります。仕事・私用で重なる経費は「家事按分して分けて計算するのが基本です。


必要経費を多く計上して所得を下げるメリット・デメリット

事業所得は事業収入から必要経費を引いて求めるため、必要経費を多く計上すれば事業所得が下がります。そのメリットとデメリットを考えていきましょう。


メリット

所得が下がれば、所得をもとに計算される所得税や住民税、国民健康保険料が下がります。税負担や保険料の負担が軽減するのはメリットでしょう。


デメリット

デメリットとしては、借り入れや賃貸契約が困難となるケースや、所得補償保険や収入保障保険、事故などで相手から休業損害補償を受ける場合に、補償される額が小さくなるといったケースが挙げられます。


フリーランス美容師の収入の証明は確定申告書がベースです。必要経費を多く計上してあまりにも事業所得が低くなってしまうと、金融機関の審査においてローンの借り入れや創業融資、不動産の契約などに影響が出ます。保険や休業損害補償などでは、所得が低いと失う額も低いと判断され、補償額が小さくなるのです。


美容師が必要経費として落とせる費用は?

ここからは、フリーランス美容師が必要経費として確定申告で計上できる経費を整理していきましょう。


必要経費として計上できる代表例

フリーランス美容師が必要経費として確定申告で計上できるものには以下のような項目が挙げられます。


<計上できる経費の例>

・面貸料

・ミラーレンタル代

・道具代

・材料費

・備品代

・打ち合わせでの飲食代

・お客様への飲み物代

・交通費、出張時などの交通費

・切手代やWeb広告代

など


美容師業務に直接関係する出費は必要経費として計上可能です。ちなみに、確定申告において経費科目は多岐に渡りますが、細かな分類は自分で決めて問題ありません。重要となるのは、一度決めた科目で翌年以降も継続・統一して申告することです。


家事按分が必要だと思われる経費項目

業務と私用で重なる出費は「家事按分」します。家事按分 とは、事業用と家庭用で経費を分けることです。1万円の出費があったとして、うち8割が事業に関わることでの使用であれば、8,000円が必要経費、残りの2,000円が家事関連費と分けることができます。


<家事按分 が必要と思われる経費の例>

・仕事とプライベート兼用のスマホ代、通信料

・ユニフォームとして着用している洋服や靴代

・自宅兼サロンの場合の家賃

・ガソリン代、駐車場代など


家事按分 の基準や、家事按分 が必要と思われるものについて、nex ACADEMYでは詳細を動画で分かりやすく説明しています。ぜひ動画もご参照ください。



経費として計上できない項目

業務に関わる出費であっても、必要経費として計上できない項目もあるので確認していきましょう。


<経費に計上できない項目の例>

・所得税

・住民税

・国民健康保険

・国民年金

・生命保険

・住宅ローンの返済元本

など


事業に関わる個人事業税や償却資産税などは必要経費となりますが、個人に関わる税金は経費とならないため注意が必要です。国民健康保険料や国民年金は「所得控除」の対象で、経費というカテゴリーでは計上できません。生命保険料も「生命保険料控除」の対象で、経費にはならないため心に留めておきましょう。


購入金額10万円以上は減価償却で経費計上する

確定申告で気をつけておきたいポイントとして、10万円以上の物品を購入した場合、「減価償却」という方法での計上が必要となることが挙げられます。


減価償却とは?

事業において購入した10万円以上かつ1年以上使用できる物品は「固定資産」として分類され、利用可能期間のなかで少しずつ経費を計上していきます。この考え方が、減価償却です。利用可能期間は普通乗用車であれば6年、パソコンであれば4年など、法定耐用年数が設定されているのでその年数に従います。


原価償却の計算方法を解説

普通乗用車を例に、減価償却の計算方法をご紹介しましょう。


<300万円の普通乗用車を購入した場合>

300万円の普通乗用車の法定耐用年数は6年のため、300万円÷6年間=50万円という計算から一般的には年50万円が減価償却費となります。


フリーランス美容師の場合は、業務と私用の両方で車を使うケースが多いでしょう。そこで必要となるのが家事案分です。車であれば、走行距離をベースに按分 することができます。仮に年間1万km走行したとして、5,000kmが業務、5,000kmが私用であった場合は、家事按分 の比率(事業割合)は5,000km÷1万km=0.5です。


よって、このケースでは50万円×0.5=25万円が1年間の減価償却費となり、6年間にわたって25万円ずつ計上する流れとなります。


青色申告は少額減価償却資産の特例を活用しよう

青色申告を行っている方は「少額減価償却資産の特例」が適用となります。少額減価償却資産とは30万円未満の固定資産のこと。この特例を活用すると、30万円未満の固定資産であれば1年で減価償却ができます。つまり、30万円未満の固定資産であれば、1年で必要経費として計上することができるというわけです。


nex ACADEMYの動画で分かりやすく解説しているのでぜひ参考にしてください。



持ち家を自宅兼事務所として使用している場合はどうなる?

フリーランス美容師の場合は、持ち家を事務所やサロンとして使用するケースもあるでしょう。そういった場合は建物の一部を減価償却することが可能です。必要経費分を計上するには、持ち家をいつから事業用として使用しているかなどを加味して細かい計算が必要となります。税理士に相談するなど、プロの手を借りて計上すると安心でしょう。


確定申告に備えておくべきこと

最後に、確定申告に備えておきたいことをまとめました。


必要資料を準備

フリーランス美容師が必要経費を確定申告で計上するには、あらかじめ資料を準備しておくことが不可欠です。申告の際の必要性に合わせてマイナンバーカードや銀行口座からの入出金の記録、売り上げ請求書や支払い明細などは早めに準備しておきましょう。年の途中でフリーランスになった方は、勤務していたサロンに依頼して源泉徴収をだしてもらうことも重要です。


経費の領収書

必要経費を計上するには領収書が必要です。SuicaやPASMOといった交通系ICカードを使用したときには、チャージの領収書とともに乗車履歴も残しておきましょう。どうしても領収書が準備できないものは出金伝票を用意します。領収書は都度、科目ごとにこまめに分類しておくと、年末の作業が楽になるのでおすすめです。


所得控除関係の書類

医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除といった所得控除関係の書類もまとめておきましょう。病院や薬局の領収書、生命保険や地震保険の控除証明書、住宅ローンの残高証明書、配偶者の源泉徴収票など、該当する控除に合わせて準備しておきます。


まとめ

フリーランス美容師の必要経費の計上は確定申告において迷いやすい作業です。経費の考え方の基本や、計上できる経費、家事按分が必要な経費を把握して、スムーズに確定申告できるよう準備しておきましょう。余裕を持って早めにとりかかるのがポイントです。


nex ACADEMYでは、美容師の技術力・知識力向上を応援しています。現場で活かせる動画を多く配信しているのでぜひ参考にしてください。



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